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2025.02.17

コーヒー生産国視察 道中記(タイ サイアム)「タイのコーヒーって…」2日目

この日は、朝からバンコク発の国内便で北部のチェンライまでフライト。
5時半にホテルを出発。バンコク空港からタイアラビカの生産地「チェンライへ出発。2時間日程度のフライトでチェンライへ到着。空港に降りた途端、涼しい空気が。気温は20度、今年は特に寒いようで、ウェットミルがある高地はさらに涼しく、10度以下になることもあるそうです。100m上がると、0.6度気温は下がっていきます。道理で涼しいはず。
タイ チェンライ上空


ここからは5台のバスへ乗り換えてウェットミル(精製工場)のある場所まで車 を走らせます。大きな道路から徐々に細くなって山を登っていきます。ヘアピンカーブも多く、さらには川の流れている中を渡って車は上へ上へと走っていきます。1度は標高は1,500mまで達し、そこから少し下って車1台が通れる幅まで道は細くなりました。行く道すがら、案内して頂ける地元の方から貴重な話を聞くことが出来ました。
 

ここはかつてゴールデントラアングルと呼ばれた一大ケシ栽培地域。特に国境に接するこの山岳地帯にはいくつかの民族がすんでいます。どの民族も貧しい中ケシ栽培による健康被害に悩んでいました。それが国家を挙げてのロイヤルプロジェクトに

設が目に入りました。3日間に渡ってお世話になるBLUEKOFFの施設の一つウェットミル(精選工場)です。これから3日間を通して 栽培農園、ウェットミル(精選工場)、ドライミル(選別、焙煎工場)をBLUEKOFF社を通じて研修することになります。

よって今は、タイのアラビカコーヒーの一大栽培地域となりました。そんな悲しい歴史もあるチェンライ。だが道端に生活している人やすれ違う車の人を見ていると希望にあふれた顔ばかりです。そんな人たちが作ったコーヒーに興味と期待でテンションは上がってきます。

 

タイ チェンライからBLUEKOFFウェットミルへの途中。人工滝

タイ チェンライ BLUEKOFF ウェットミル プランテーション

やがて「BLUEKOFF COFFEE PLANTATION」という看板の施

車を降りた瞬間、果肉とミューシレージの発酵したような独特のコーヒー果実の香りが充満しています。うわーっ、コーヒーワールドの始まりだー!うれしくて、うれしくて、心躍るとはこのことです。目の前にはパティオに乾燥されている白いパーチメンの海。思わずパティオの海を眺めて暫し黄昏てしまいました。

ここでBLUEKOFFの基本情報。社長はMR.SUPACHAI SRIWITTAPORN(スパチャイさん)バンコクにオフィスを持ち、自社農園とウェットミルはチェンライ。ドライミルはバンコク北部のサラブリにあります。自社農園は2haで約500の小農家と契約しています。収穫期は10月から2月、自社農園及び周辺農家からのチェリーから、焙煎後の最終製品まで内製化しており店舗も持っているという、一

貫生産可能であることが強みですのタイではレアな会社だそうです。

そうこうしているうちに、まずは施設内でBLUEKOFFのオーナーであるスパチャイさんとみんなでご挨拶。日本からは友好の証として日タイの国旗と、スパチャイさんをはじめご両親に向けて日本名にした漢字が書いてある団扇を団長からプレゼント。喜んで頂きました。

一通りのご挨拶をしたのち、施設内の食堂にて美味しい料理を頂きました。遠くに見える山の向こうはミャンマーとラオス。国境が近いこの土地は、まさしく悲境に近いともいえるか。

本日の予定をここで聞くことになりました。まずはコーヒーのスタートとしては農園でしょう。ウェットミルから20分程度車を走らせ自社農園へ。この際ピックアップトラック5台の荷台に乗り込み、風を浴びながら車から転落しそうになりながら、やがて農園にたどり着きました。標高は1,200m程度。現在この自社農園ではいろんな品種を実験的に栽培しながら適した品種を探しているようで

ここでまず、収穫体験をみんなで行いました。自分でチェリーを収穫するのは楽しいです。 みんなニコニコでで斜面を登ったり下ったりしながら「これがいいチェリーだー!」と収穫していました。この自社農園の面積は2haだそうです。1本の木からは約2kgの生豆が収穫できると言っていました。高さ1m程度の段々畑のようにしてコーヒーの木が植えられています。コーヒーは果実(チェリー)から生豆を取り出す段階で目減りしていきます。この目減りに関しては国、環境、品種など様々な違いで収量も異なるようですが、収穫するチェリーからパーチメントにすると目減りし、さらにパーチメントから生豆にする段階で目減りするということです。チェリーからパーチメント加工での目減り率が生豆にする工程よりも多く目減りします。チェリーから生豆へは生産国によっても異なりますが、約30%~18%程度までになってしまうようです。ということで今回2kgの生豆が1本の木から収穫できるということは果実としては10kg程度収穫できるということになります。

タイ BLUEKOFFの農園までの途中




今回は収穫体験はゲイシャ種で行われました。日頃、生豆を見ながらこれは未成熟豆が多いとか、枯れ豆が多い

とか言ってはいますが、この収穫では一つ一つの果実を見ながら緑の部分がないか、完熟度合いはどの色なのか、色づいているのに実が取れにくい、簡単にしているようで、これが中々難しい。見るのとするではタイ BLUEKOFF 直営農園、全く感覚が違う。一粒実を食べてみる。果肉は薄く、とてもフルーツとしては成立するものではない。つまんでちょっと力を入れると、ツルっとミューシレージに包まれたパーチメントが出てくる。

この収穫においても品質がとても大切で、いかに完熟しているかをその後の最終コーヒーとしての味に影響を与えているまず第一歩かもしれないと思いました。

この自社農園では様々な品種も実験栽培しているという事でした。土地に適応した品種を使用することは農業としては非常に大切なのでしょう。この部分は農業です。自国産では足りず輸入している国にとっては、格付も必要がないということも分かる。その中でも、このように様々な事に挑戦していることはまれだが、これから段々とこの傾向は広がっていくことを感じました。



次に向かったのは、BLUEKOFFさんの契約農家の農園です。この農家はBLUEKOFFさんにしか持ち込みしていなく、それが信頼の証にもなっているとのことでした。我々が農園の中でイエローブルボンなどのたわわに実った果実を見ている中、バイクで個人の仲買人が買おうとしていました。この農園では100%BLUEKOFFに卸しているのだが、他の農園などでは結構煮れる光景ら

しいとのことでした。この辺りは小農家が多く、チェンライだけで、400件ほどあるようです。そうやって農園を視察した後、ウェットミルまで再びトラックの荷台に乗り風を感じて揺られながら、ウェットミルに戻りました
タイ BLUEKOFF 契約農園のイエローブルボン チェリー

 

ウェットミルでは既に夕方、その日収穫した小農家の人たちが続々と持ち込んできます。この日の買取価格は32BT/kg 。これはあくまで果実の価格です。チェリーの品質が揃っていれば+1,更に良いものだと+1のプレミアをつけて買い取ります。このようにすることによって農家のモチベーションを上げて、全体の品質を上げていきます。
とはいえ、これで円に換算して生豆を計算していくと・・・結構高い。やっぱり大事に扱おう。農家の皆さんが大切の育てたものなのでと、改めて感じさせられました。

持ち込まれた果実は取り組み口から入れられます。中で一人の農家の方の未成熟果実が多かったのか、買取を拒否されていました。ここでも品質のセレクトが行われています。

取り組み口から入れられた生豆は、浮くものと沈む果実でプールに入れられ、粗選別されます。浮いたものはここで分けられています。

ここからの精選工程は明日詳しく説明を受けるとして、一通りの工程を教えて頂きました。粗選別した果実をパルパー(果肉除去機)にかけて果肉を除去していきます。その後、水槽でミューシレージを微生物によって取り除き、ミューシレージドリムーバー(ミューシレージ除去機)によってここでは洗い流すようにしています。(なんと贅沢な使い方)。

パーチメント状態なものを乾燥機で乾燥し、パティオ(乾燥場)で天日乾燥し、水分値を調整します。ようやく出来上がった乾燥パーチメントは袋に詰められ、10時間以上かけてバンコク近くのドライミル(選別工場)へ運ばれます。

BLUEKOFFさんではこの水洗式(ウォッシュド)に限らず、非水洗式(ナチュラル)、パルプドナチュラルの基本精選方法のほか、何種類かのアナエロビック精選も行われているようです。この辺りは明日の説明で。

ここで感じたことは、世の中の全てのコーヒーが決められた精選を行っているわけではなく、その生産国、地域、農園だけでなく、需要状況や拘りによって様々な事情が異なり、それによって精選方法や順序、方法などが異なるということです。今回のBLUEKOFFさんで行われていることはかなりレアなケースといえますし、精選方法も彼らの経験上からベストなやり方を模索した結果、行われているということです。ここしか知らなければ、これが世界共通だと勘違いしてしまいます。これをしっかりと踏まえたうえで、理解していくことが大切だと感じました。

タイのコーヒーは一般的なのは水洗式だそうですが、果実から果肉を除去し、ミューシレージを除去しパーチメントコーヒーを乾燥して出来上る。大きな工程は変わらないが、その中でいろんな拘りがあり、やり方があるということです。

水洗式精選では多くの水を使用します。このウェットミルでもふんだんに水を使っているわけですが、一方でそのまま排水してしまうことは環境問題につながります。ここでは排水した水を一度人工池に貯め、微生物と酵素によって分解させています。その排水を第2の人工池に貯め、さらに分解をさせます。さらに次に第3の人工池に流して自然乾燥させていきます。こういう拘りもオーナーの姿勢を強く感じることが出来ました。また、パーチメント豆を小さなポッドで発芽させ、ある程度苗が大きくなったところで実際の土地に植えます。

タイ チェンライ BLUEKOFF ウェットミル 内の食堂

タイ BLEUKOFF ウェットミルからの夕方景色

そんな説明受けながらウェットミルの夕暮れです。本日の夕食もBLUEKOFFさんの中で頂きます。山の夕暮れを見ながらの夕食は産地ならではの風が流れ、地元の食事を堪能すると、現地の人のように時間が流れていくような気がしました。

さて、ここからチェンマイのホテルで宿泊予定ですので、2時間をかけて山を下っていきます。真っ暗な中を走る小型バス。5台のトラックはカーブを何度も回りながらもと来た道を下ります。途中の休憩所では1台の車がパンクをしていることが分かり、慌ててタイヤ交換。大きな事故にならずにほっとしました。ホテルには10時過ぎに到着。翌日再びウェットミルに出かけることから出発は6時です。

因みに、タイのトイレ事情について面白いことが分かりましたので、ご紹介します。道中のトイレはガソリンスタンドなどによって公衆トイレがあります。その際、前から入っていくと男子トイレでも大のトイレしか見当たりません。不思議に思っていると、なんとトイレの裏手に男子用の小のトイレが並んでいます。これは知っていないと、初めてはウロウロしてしまいました。
次に、ホテルのトイレ。一般的なホテルでもトイレットペーパーをトイレに流してはいけないといわれました。なんでも管が細く、水圧が弱いため詰まりやすいそうです。下手に詰まらすと修理費を請求されることもあるとか。そのため便器の横に大きめのごみ箱が設置してありました。ペーパーはここに入れるそうです。最初は何とも抵抗がありましたが、最後の方は結構慣れてきました。
これも、国が変われば事情が変わる。何事もなにごとも・・・。

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