
COLUMN コラム
コーヒー生産国視察 道中記(タイ サイアム)「タイのコーヒーって…」3日目
2日目と同じく、
ホテルを朝早く出発。今回も2時間ほどかけながら,BLUEKOFFさんのウェットミル(精選工場)へ到着しました。
今は乾期のせいか、お天気は良く、気持ちがいい。
今日は朝から昨日収穫して集荷された果実が精製され、最終的にはカッピングまで一日かけてを説明していただきながら視察しました。
粗選別
昨日の集荷されたチェリーは水槽に落とされ、浮くものと沈むものに分けられます。浮いたものはそれぞれ次の工程に別々に進みます。ここでは1日プールに漬けられていたチェリーを粗選別していました。
パルピング
チェリーをパルパー(果肉除去機)にかけられて果肉を除去します。ここでのポイントはパルパーの歯の感覚。これによってクオリティーのベースが決まります。次にパルピングされた果実は浮いたものはパンチングされた通路を通り、ミューシレージの付いたパーチメント、果肉の付いた表皮や未成熟豆などがそれぞれ沈んで別々のパイプに分けられ運ばれます。浮いたものはやはり別に分けられ、それもまた別々のルートをたどっていきます。これを何度か繰り返ししっかりとグレーディングの選別をしています。
発酵槽によるミューシレージ除去
最初に沈んだパーチメントコーヒーは下のプールに運ばれます。ここでは微生物によりミューシレージを取り除く発酵槽です。ここでは1日置いたものと2日間漬けて置いたものに分けられ製品が異なっていきます。
次にここではあえてミュージレージリムーバーの機械で洗い流す工程をつけ足しています。とっても贅沢な使い方。ここまでするかと思いました。
これにより完全にミューシレージは取り除かれパーチメントの状態になります。パンチングで水を取り除かれ、下の乾燥機場所に持っていきます。
機械乾燥
大きな乾燥機が3台並んでいます。ブラジルから取り寄せた乾燥機を使ってパーチメントを乾燥させていきます。ここでは60度の温風をまず当ててある程度乾燥が進むと40度前後に落として最終乾燥を進めます。水分値を見ながらパーチメントの状態で20%の水分値にまでした生豆を天日乾燥にしていきます。
ここまででひとまず、お昼にしましょう。BLUEKOFFさんで頂くお食事は、いつも美味しく、周りの景色も伴ってより味わいがいい!
後はビールがあれば・・・などと不謹慎な思いを察知してか、横には発泡スチロールに入ったビールが・・・。ですがさすがに周りの目もあります。ここは最年長ですから皆さんのお手本にならなければという事で、我慢我慢。
午後から、このウェットミルで使用している水についての水源です。ウェットミルでは様々な工程で多くの水を使用します。水が豊富であることはウェットミルでは大切なことなのです。それではこの山の中でどこにそんな豊富な水があるのでしょうか。という事で、この水の供給源を見に行くことになりました。いつものトラックの荷台に乗りながら1,300m以上の高地に上っていきます。15分程度で山の中につきました。
案内された場所は何やら神聖な雰囲気が漂う場所。そこから歩くこと5分、映画「もののけ姫」に出てくるような池がありました。ほとりには小さな井戸があり、現地の方も水をくみ上げ、頭や顔にかけていました。
ここはドイチャーン仏教公園、かつて仏陀が石の上で瞑想し4本の髪の毛を置いて行った場所。そこからは光の輪の柱が放たれたそうです。秘境の中の秘境、その池の水を使用してコーヒーの精選をしているのだそうです。これこそ聖なる水を使用したコーヒー。しばし秘境の静けさを味わいながら、ウェットミルまで戻ります。
天日乾燥
パティオで薄く敷かれたパーチメント。このほかにナチュラルでの乾燥もしており、いろんなタイプのコーヒーを天日乾燥していました。初日に場所では一部果実、パーチメントなど混在したものがありました。最初の粗選別された中のローグレード品だと思われます。
と、ここでタイのコーヒーについて格付けですが、そもそもタイコーヒーは生産量より消費量が多く、輸入しているほどです。ということであえて厳しい輸出規格を作る必要がないということが格付けのない意味かと思われます。今後世界でコーヒーの輸出が盛んになれば格付けが必要になることがあるかもしれません。
別精選
このウェットミルでは嫌気性発酵(アナエロビック)の一つとしてカーボニックマセレーション(二酸化炭素による嫌気性発酵)も行っていました。普通のアナエロと異なる点は強制的に二酸化炭素をタンクに入れていることです。これをパーチメント、果実の両方を加工していました。
また実験棟といえる場所においては乳酸菌や酵母を使用したものも行われ、低温の棚干しを行い風味特性に実験をしていました。生産者は様々な工夫をしながら美味しいコーヒーづくりを目指しています。
この後御昼になってしまい、お昼を頂きました。
カッピング
その後はいよいよカッピングです。
これまで説明を受けたナチュラル、パルプドナチュラル(ハニーと呼んでいた)、ナチュラル、ナチュラルカーボニック、カーボニックと菌発酵を取り合わせたハイブリット(勝ってにそう呼んでいた)2種(ナチュラルとハニー)、カーボニックの7種類をカッピングしました。
全体的に感じたことは優しい風味がベースになっていると思います。焙煎度は浅くなく、粉砕も通常飲むときのグラインドでした。優しいベースであるからこそ、いろんな精選方法を実験しながらメリハリのある風味づくりを目指しているのではと感じました。タイではスペシャルティコーヒー協会も出来ており、輸入のための格付けというよりはメリハリのある風味づくりをしているのではと感じました。
夕方前までかかって一連の精選工程を視察することが出来ました。コップンカーップ!
名残惜しいですがウェットミルはここまで。やはり2時間をかけてチェンライ空港まで。
そこから2時間をかけてバンコクまで何とか戻りました。空港からホテルまで渋滞に巻き込まれながら夜6時の夕食の予定が8時過ぎごろの遅い夕食になりました。毎日の晩御飯は楽しみの一つでもあります。本日はバンコクではプーパッポンカレー(Poo Pad Pong Curry)で有名なソンブーン(SOMBOON SEAFOOD)という店で、魚料理、肉料理、揚げ物料理などを堪能しました。現地についてからはビールはお友達。本日はメニューの中にタイのリージェンシー(REGENCY)というブランデーがありましたので、こちらも頂きました。ブランデーVSOPで、甘い香りの何とも言えないおいしさでした。免税店でも売ってないという事で、最終日にお店で1瓶買いました。そうこうしているうちにバンコクの夜は過ぎていきました。
明日はBLUEKOFFのドライミル(選別工場)です。